茨城県内のNPOの基本情報

法人数:590法人(注1)(2012年2月29日現在)
人口1万人あたりのNPO法人数:1.94(注2)(2011年9月30日現在)
 ※この数字は、47都道府県中ワースト1位
注1:茨城県 生活環境部 生活文化課 県民運動推進室調べ
注2:同上

なぜ茨城のNPO法人数は少ないのか?

 NPO法人数は右肩上がりで増加していますが、人口1万人あたりの法人数は、残念ながら全国最下位です。
 いくつか理由があると思いますが、1つは人口密度が挙げられます。NPO法人を設立する際には、同じ志を持った10人の正会員が必要です。地域分布にヒントがあるかと思いますが、茨城のNPOは県南の都市部や新住民が多い地域に、多く存在しています。地域のために活動したい人が、比較的自由に集まりやすく、NPOの活動も活発になります。
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 その一方、鹿行、県西、県北はNPOが比較的少ないです。例えば、日立市ではボランティア活動は盛んですが、NPO法人数は24とあまり多くはありません。日立市や土浦市などでは、コミュニティがしっかり組織されていて、地域の課題をコミュニティで解決する力があります。これは茨城の特徴のようです。そのためコミュニティがしっかりしている地域は、わざわざNPO法人を設立する必要がなく、法人数も少ないのかもしれません。

活動分野で多いのは福祉

 NPO法では、福祉、まちづくりなど20の分野(注3)から1つ以上選んで(いくつ選んでも良いことになっています)活動することになっています。活動分野別に県内NPO法人を見てみると、福祉に関わるNPOが半分以上あります。そして、これらの団体は社会教育、まちづくり、環境保全、子どもの健全育成など、複数の分野にまたがって活動する場合があります。現在は活動を行っていなくても予定として定款に活動分野を挙げられるので、実際の活動分野を正確に把握することは困難です。福祉に関わるNPOが一番多い理由としては、障害者自立支援法施行により、任意団体だった障がい者の小規模作業所が指定サービス事業所となるために法人格を取得する必要に迫られたことが影響していると考えられます。
注3:2012年3月以前は17分野。
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 また、NPOの活動分野別法人数は社会情勢によって変化します。例えば、東日本大震災後に、災害救援を活動分野に挙げるNPO法人が4団体設立されました。新たにこの分野を活動内容に加えた法人もあります。

NPO法人設立の二極化傾向

 NPO法人設立にあたっては、二極化している傾向にあると思います。1つは福祉系の事業者や指定管理者が事業継続のため法人格が必要で取得する場合、もう1つは、趣味サークルに近いイメージで、退職後に何かしようということでNPOをつくる場合です。以前は、環境活動など地域に開かれた活動を目指すボランティア団体がNPO法人格を取得する傾向にあったのですが、現在ではそういうケースも少なくなっているように見受けられます。

NPOの収入構造

 NPOにはいくつかの収入源があります。会員の年会費、寄付金、助成金などは「支援性の財源」といって、支援した側は金銭的な見返りを求め ない財源です。その一方で、対価をもらってサービスを提供する自主事業や、行政からの委託事業などもあります。
 NPOは採算性が低い活動でも寄付や助成金、ボランティアの力で補うことができます。NPOが社会的な事業が出来る秘密は支援性財源(図の左側)であり、この財源があるからこそ、事業だけでなく社会的運動も展開できるのです。
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茨城のNPOの事業規模

 県内NPO法人の全体の事業規模は、2002年に約80団体存在していた時には、4億円ほどでした。ところが5年後の2007年度には約500法人まで増加し、事業規模も収入ベースで約33.6億円にまで増加しました 。(注4)
 事業規模が拡大する一方で、課題も浮かび上がってきました。2007年度決算では、約33.6億円の収入のうち、実に約25.9億円と8割近くが自主事業や委託事業収入で占められています。つまり企業と競合しながら得る収入です。NPO独自の財源である会費、寄付金、助成金は併せても5億円程度です。つまり前述の「支援性の財源」が非常に少ないのです。NPOが地域の県民から支えられず、なんとか対価性の収入で食いつないでいる状況です。その後の追跡調査は行われていませんが、状況はあまり変化していないと考えられます。
注4:特定非営利活動法人 茨城NPOセンター・コモンズ(2010年3月)『NPOのつくり方・かかわり方』

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