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水害発生から8週間経った、茨城県常総市の状況報告


2015年11月6日

認定NPO法人 茨城NPOセンター・コモンズ
代表理事 横田 能洋


 9月10日に起きた鬼怒川などの洪水被害に関して、全国の皆様から多大なご支援をいただきました。本当にありがとうございます。被害の状況とコモンズの取り組みについて報告させていただきます。長文お許しください。


民家の片づけや泥かきの状況

 まずボランティアですが、多くのボランティアを受け入れ、泥かきなどの活動にマッチングする役割は、市の社会福祉協議会が設立した災害ボランティアセンターが担ってきました。11月初めに、市内の個人住宅からの家財の取り出しや泥かきは概ね終わりました。けれども、空き家や避難先から戻れない人の民家の片付けが手付かずだったり、アパートや集会所など個人宅以外で片付けが終わっていないところも多くあります。田んぼに入ったゴミを、誰がどう取り出すかも課題で、これが進まないと農業再建が困難になります。田んぼの掃除ボランティアが動き出すと、また多くの人の協力が必要になりそうです。


コモンズの取り組み

 コモンズは、県外から常総市に入った支援組織の連絡会を組織して、情報共有したり、今後必要と思われることをまとめて常総市に提案し(第1回提案書はこちらを参照)、自らも実行しています。もうすぐ2カ月になるので、それに併せて再度提案する準備をしています。

 コモンズ常総事務所では、常総市に多く暮らしているブラジル人やフィリピンの人たちの就職支援や子どもの就学支援を5年前からしてきたので、被災者対象の重要な情報を、ポルトガル語や英語に翻訳して情報誌を出したり、災害FMラジオで流したり、通訳とともに個別相談に対応しています。

 浸水で車を失った人もとても多いので、移動サービスや、複数の人で車を共有するカーシェアを導入し、普及しています。移動サービスでは、市の乗り合いタクシーでは対応できないような、子どもの学校への送迎、市外への通院、障がいがある方の送迎に日々ボランティアが交代であたっています。カーシェアは、既に避難所にいる方やブラジルの方に3台貸し出されています。これらは、行政が対応できないニーズに応えるために行っています(その他の活動については、こちらをご覧ください)。


在宅避難者の状況

 コモンズ事務所の周辺は、3日間1メートルくらい水に浸かっていたので、多くの住宅が1階にあったものを全て廃棄し、床や壁、台所や風呂などを修理しないと住めない状況になりました。大工さんが見つからない、すぐに来てくれない、修理費用が払えるか見込みが立たないなど、様々な理由で修理が進んでいる家と進んでいない家の差が生じています。1階が工事中の家が多い地区は、住民があちこちに避難しています。1階の床がなく、台所も風呂場も使えない家の2階に暮している人の生活は、避難所よりも厳しい状況に置かれています。

 コモンズは、このような在宅避難をしている人の状況を調べて行政に支援を求め、自らも食料や支援物資を届けたり、離れ離れになっている住民が再会して情報交換ができるサロンを各地で開きながら、住民の声を集める活動に注力しています。3日に相野谷地区で行った炊き出しでも、「久しぶりだね。どこに避難しているの?」と言った声が聞こえました。「鍋を持って来てください」と声をかけた時、「鍋もない」という方が多くいました。久しぶりに炊きたての米を食べた、という声もありました。自分も家で食事をしていなかったためか、久しぶりに美味しい米を食べました。

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経済的なお悩み

 床上浸水が1メートルを超えるかどうかで、罹災判定が大規模半壊か半壊に分かれることが多く、半壊となると、現状では数万円の見舞金しか得られません(注:県として半壊家庭にも一律25万円支給する補正予算案を準備中と6日に明らかに)。今回は半壊以上の被災世帯が多い一方、義援金があまり集まっておらず、配分しても十分な金額にはならないようです。これがかなり厳しい状況を生んでいます。

 家具や家電、車などを買い直すだけでも大変な上に、持ち家の人はリフォームとその資金をどうするかで悩み、アパートにいた人は、市内では住める物件が限られています。このままでは、アパートを追われた人や避難所から家に戻れない人は、市外に流失してしまいます。既にかなりの人が市外へ住民票も移しています

 家に戻れない人を対象に県が用意したつくば市などにある旧公務員住宅は、遠い上に古く、転居を辞退する人が多い状況です。移った場合でも、移動の問題や孤独の問題に対応する必要があります。水海道とつくばを結ぶバスは少なく、電車があると言ってもかなりの時間とお金がかかります。常総と市外を行き来しなければならない人への交通費への支援が必要です。

 たすけあいセンター「JUNTOS」では、引っ越しする方が必要とするものを届けながら、つながりを持とうとしています。つくばに移る方は自転車を希望する方が多いのですが、数が足りない状況です。

 直さないといけない市内の自宅に留まる場合でも、家の財力の差や行政から得られる支援の差が、生活復旧の格差につながります。人が出て行ったアパートの修復が進まないと、人口が戻らないだけでなく、空家の増大、治安の悪化につながります。常総市内のアパートに戻る人への家賃補助、アパートの修復への支援(高齢者が住みやすくリフォームするのを支援する制度を援用するなど)することを市に提案していきたいと思います。

 高齢世帯だけの家を自ら修復するのは大変です。その家をグループで暮らせる家として改装できれば、元の家に住み続けることもできるかもしれません。市内にある既存の不動産を活用して、サポート付き住宅をつくれば、避難所から出ていける先がない人の受け皿になるかもしれません。このようなことを、いろいろな人が集まって話せる場、復興のためのアイディアを出せる場や、様々な声、想いが伝わるメディアを作っていけたらと思います。


ご協力いただきたい活動
 
 このような常総市で、生活困窮や格差が広がったり、住民がバラバラになるのを防ぐために、コモンズはたすけあいセンター「JUNTOS」(ポルトガル語で「一緒に」の意)を拠点に、地域の復興に取り組みます。 

 災害発生から2ヶ月になり、県外から来られた支援団体も戻る時期を迎える中で、ぜひとも茨城の市民団体、労働組合、個人の方に可能なかたちで支援していただきたいと思っています。今お願いしたいことは、炊き出しやサロンなどの交流イベントの運営補助、家のリフォームや引越しの補助、防寒器具や生活に必要な物資、食材を集めたり届ける活動、住民の声や必要な情報を集めて、情報誌にまとめたり発信する活動、移動サービスの車の運転などです。団体でも個人でも結構ですし、頻度は可能な範囲で構いません。できる活動でたすけあいセンター「JUNTOS」を通じて、常総の人々の生活の再建に関わっていただきたいと思います。
 
 これらの事業を続けるために、拠点の維持費やコーディネートを担うスタッフの人件費、協力いただける団体の旅費、必要な物資を購入するための資金が必要なので、JUNTOS募金へのご支援もぜひお願いしたいと思います。