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協働を活性化させる地域円卓会議

 NPOが取り組んでいるテーマを見てみると、特に子どもや福祉の分野では、対象者の多くは、いろいろな組織からはじかれた人たちです。それをNPOがケアしていますが、それは対処療法的です。組織社会から排除されない状況をどうつくるかが根本的課題ですが、その実現には社会のあらゆる組織が問題の当事者として関わる機会が必要になります。


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大切なのは「うちとは関係ない」から「うちは何ができるのか」への転換

 「法律は守るが、それ以外は関係ない」、「政府に任せる」と各自が行動したら、社会の持続性は保てません。社会的責任に取り組むとは、法律では求められていないけれど、自分たちも関係があるから周囲からの期待に応えようとする自主的な営みです。その「周囲」というのが自分や組織に関わる利害関係者のことです。企業であれば、顧客、従業員、株主、取引先など。NPOであれば、会員、利用者、支援者、スタッフ、地域の人々、将来の世代など。


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 法律であれば、どこまで守るべきか義務の範囲が示されます。法律を超えたことをするには、特に企業の場合、関係者が何を求めているか、まわりがどう動こうとしているかがわからないと単独では動きにくいものです。このため、社会的責任に対応するには、関係者との対話が大事になり、そこから生まれたのがマルチ・ステークホルダー・プロセスなのです。この具体化の試みが「地域円卓会議」です。


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 平成23年2月に、全国で初めて水戸で地域円卓会議が開催されました。中央の社会的責任に関する円卓会議の地域版として実行委員会が主催しましたが、前例がないので試行錯誤の連続でした。円卓会議の本来の姿である、各セクターの代表者がテーブルについて協議し合意することを目指しましたが、ハードルが高すぎるので、代表制は外して、他セクターの人がアイディアを出して実践につなげる、というかたちで行われました。農業振興、買い物支援、寄付循環の3つのテーマに、各セクターから約10名がテーブルにつき2時間の議論をしました。協議を観るため、全国から約130名の方が参観に来られました。2年目は、参加者が円卓会議を体験するフォーラムを行いました。

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 円卓会議をする際の最大のネックは「この場で発言したら責任を問われるのでは」という心のバリアです。そのバリアを取り除き、多様な視点、アイディアの融合を生み出せるかがポイントになります。最初は、個人的見解でも良いからアイディアを出しあい、それをみんなで実現しようというものです。


円卓会議の効果は仲間づくり


 円卓会議は、異業種の人の出会いの場にもなります。そこでの議論により互いの考えや強みを理解できるので、会議以外の場面でも、つながりが生きることがあります。仲間の関係になると、何か問題が起きても、それぞれが仲間のために自分ができることを考えてくれます。円卓会議は、テーマを決めて、テーマに関係するメンバーを集めて開くパターンと、地域の多様な組織からメンバーを集めて、メンバーが協働できそうなテーマを見つけていく方法があります。
 

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 円卓会議の成功の秘訣は、会議を仕掛ける裏方のチームを多様なメンバーで結成することです。そのメンバーが仲間となって、テーマを決め、それにふさわしい協議者を選んで頼む、そして話しやすい環境づくり、演出を考える。それができれば盛り上がります。あとは、そこで出されたアイディアをどう実践に結びつけるかです。

NPOで市民社会を広げる

 人には国民、組織の一員、組織に縛られない一市民としての顔があります。社会も、国家、組織社会の他に市民社会の領域があります。日本の社会を動かしているのは組織社会ですが、余裕がなくなると組織を守るために弱い人を排除しがちです。また、組織を守るために作られた規制が、新たなアイディアを実現する上での障害になることもあります。組織社会の一員としては、問題がわかっていても行動しにくいものです。誰かのせいにしたり、先送りしていては、社会は良くなりません。
 
 一方で、市民社会とは、組織に縛られずに、人が自ら参加し共に何かを生み出す場です。円卓会議は組織間で利害調整をする場というよりは、組織を超えた議論ができるところに価値があります。単独ではできないアイディアを互いに持ち寄って、協力できることを実験する。そこで生まれた発想を自分が属する組織に持ち込むことをしていけば、組織社会が生み出す弊害も改善されていきます。

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NPOが参加の機会をつくる

 立場を超えて参加でき、自由な討議や協働の実験ができる場をつくるのもNPOの役割です。NPO自体が出入り自由の開かれた組織ですから、そうした場をつくれます。また制度や利害に縛られずに地域の主体に呼びかけることもできます。参加を作る部分がNPOの運動の部分で、それが豊かになれば市民社会も広がります。NPOの会員や寄付者が増えるということは、単にお金が流れるだけでなく、市民社会に関わる人を増やすことにもなるのです。

 NPOがそうした運動をせずに事業だけをしていたら、社会の仕組みを変えるのは困難になります。現状のNPOは、収入構造から見ても運動が弱く事業に偏っている面があります。事業の部分しかないのでは、参加の機会は増えず、社会の仕組みを変えることはできません。組織を持続させるためには、事業性も大切ですが、一方で運動がなければNPOは社会的な存在価値が弱まってしまうでしょう。

 NPO制度も寄付税制も、地域円卓会議も、「市民が主役になる市民社会」を豊かにするための仕組みです。これらをうまく活用して住み良い社会をつくっていきましょう。

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