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新しい公共と県の現状 〜NPO育成へ県予算増を〜

※ 以下の記事は平成23年6月4日(土)に、茨城新聞客員論説委員として横田が寄稿したものです。

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認定NPO法人 茨城 NPO センター・コモンズ
常務理事・事務局長 横田 能洋


 震災以来、コモンズは、北茨城やいわきのNPOを支援している。既存の災害援助の資金や社会福祉協議会は「県域」「制度」が制約になったが、NPOはそれを超えてニーズに即応し様々な連携をつくることができた。これは寄付があったからできた取り組みだ。

 寄付に支えられる自由な市民活動を広げるために、政府は昨年抜本的な寄付税制改革を決めた。認定NPOへの寄付が税額控除の対象になり確定申告で半分は還付される。それも寄付すれば例えば五万円で十万円分の寄付ができる。

 この制度を梃子に、10年間で寄付を今の10倍の1兆円に増やすのが国の政策。その一環として内閣府は新しい公共支援事業を行っている。寄付の受け皿としてNPO等が育つ基盤整備を2年間行うもので、茨城県には1億7千万円の財源が交付された。

 茨城県は他県と比較して極端といえるほどNPO育成への取り組みが遅れている。県のNPO担当者は栃木や群馬で5人以上配置されているが、本県は2人未満。NPO育成の関連予算は年間百万円にも満たない。NPOの事業報告のネット公開もされていない。コモンズは民間でできることとして団体データベースをつくり、寄付仲介の仕組みづくりに挑んでいるが、行政側の方針と体制と予算がなくては地域全体の基盤整備は困難だ。

 今回の支援事業はそれができる絶好の機会だが、初年度の計画予算をみて愕然とした。本年度少なくとも全体の4分の1に相当する4千万円はNPOの基盤整備に充てられるはずなのに、直にNPOを対象した事業は5百万円にも満たない。また県の従来事業の予算を付け替えている例が多くみられた。霞ケ浦浄化や女性・若者のリーダー育成が新しい公共と無関係とは言わない。ただ今回の支援事業は参加の受け皿となるNPOと市民の接点をつくりNPOを育てるための事業で個人を対象にした事業は対象外のはずだ。県にとってもNPOにとっても最期のチャンスなのに、なぜNPOに関わる事業を厚くしないのか理解に苦しむ。

 この国の事業はガイドラインがあり、計画づくりや事業選定を行う運営委員会がおかれている。私は委員として、この2年で本県の活動基盤整備をしなければ今後のNPO自立的発展は望めないと何度も発言した。他の多くの委員も、新しい公共なのだから、行政だけで決める既存のやり方を変えようと発言している。今回は3月の県議会まで時間がなかったことは確かだ。しかし、ガイドラインと異なる計画になった背景には、NPOに関する県の計画や体制が長年整備されず、各課とNPOの関わりも薄かった、という本県の特性がある。これと、議会さえ通ればいいという県職員の発想の変革が重要だ。その意味で運営委員会は新鮮な議論の場になっている。

 他県は、この10年でNPOに事業提案の機会をつくり、試行錯誤しつつ職員がNPOを理解し、事業立案の仕組みも変えてきた。協働によりNPOの自主事業も育っている。

 「新たな事は時間がかかる、よくわからない団体と関わるのは面倒」という職員の意識を変えるには、首長のリーダーシップも重要だ。実績のある団体にだけ任せるやり方は古い。県の新しい公共支援事業国のガイドラインに即して根本から見直すべきだ。

 幸い同事業に関する協働事業の公募はこれからなので自治体職員はぜひNPOと向き合ってほしい。NPOも閉じずに、自分たちの事業プランをしっかり地域や行政にアピールしてほしい。時間があるときに、では手遅れになる。チャンスはこの2年しかない。

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