コモンズのNPO支援の取り組みについて
わたしたちは、日本のNPOの現状を次のように捉えています。
NPO法成立から10年、これまでの成果と残された課題
成果
- 従来の公益概念(公益は官が決め、官だけが責任をもつという考え方)に風穴を開け、新たな市民公益概念(市民が行う自由で多様な社会貢献活動が公益の増進に寄与するという考え方)が浸透してきた。
- 市民団体が契約主体としての法人となれたことで事業の領域が広がり、介護保険や指定管理者など、公的な事業の担い手として急成長した。
- (1・2により)非営利・公益法人制度改革への新しい動きを誘発することができた。
課題
- 人材や組織がまだ十分に育っていない。
- 有給職員は増えたが処遇が不十分であり、30〜40代の担い手が不足している。
- NPOとは名ばかりで、実際にはNPP(ノン・プロフィット・パーソン)のように個人で頑張っているNPOが多い。
- NPOと行政の協働事例は急増したが、全体として予算が削減されており、安い委託費で無理を重ねて疲弊しているNPOも増えている。
- 10年前と比べ寄付の割合はさほど増えておらず、政策提案に取り組むNPOもごく一部にとどまっている。
このままでは…

- 悪循環
NPOの今後をめぐる2つの路線
A. 事業にばかり向かうのではなく、NPO本来の役割である運動と事業のバランスを考慮ずべき! VS B. 委託事業で体力や実蹟をつけながち、提言力を高ぬていけばよい!
Aのポイント
- 会費や寄付などの社会的な支指を増やすこと (寄付控除の対象となる認定NPOの認定要件緩和、地域における資金提供の仕組みづくり等)
Bのポイント
- コスト削減ばかりを優先しがちな民営化や指定管理者制度を正し、人件費の水準を高めること
- NPO側の専門性や提案力を高めること
いずれにせよ、重要なのは
「本来の組織(経営者としての理事、専門職としての職員、応援団としての会員がいる組織)」と「核になる担い手」を地域で育てること。
県内のNPOを発展させるためのレバレッジ(梃入れ)ポイント

- 好循環
そこで、次の5つの柱で運動を行っています
1. 人、物、資金を交換するチャンスの拡大
- 企業がもつ機材、車、場所、ノウハウをNPOに提供するサポート資源バンクをつくる。 (NPOで資源がほしいときに経済団体・労働組合を通じて企業の協力を得られる仕組み)
- NPO側が、外部に提供できるサービス、ノウハウ、人材のリストを整備し、NPOと連携したい企業や行政機関、学校、宗教団体、自治組織、個人に紹介し、具体的な仲介も行う。
2. 有給職員のレベルアップと処遇改善
- スタッフ同士が知り合い、実務能力と企画力を切磋琢磨し、協力し合える関係をつくる。(スタッフ合同研修(実務や企画の講座)、事業所訪問、共同広報キャンペーンなど)
- NPOアシスタントの養成・派遣により、事務処理能力のアップを支援する。
- 各団体で職員の処遇改善やSRが実施されるよう情報共有し、ともに理事会に働きかける。
3. 団体間の連帯による事業・提言の促進
- 同分野のNPOの情報交換会を行い、共同のインパクトを生み出せる事業を具体化する。 (福祉作業所の仕事開発、多文化共生や温暖化対策など、市民が関心をもつテーマで)
- 公益法人とNPO法人との接点もつくり、連携して行える事業を具体化する。
4. 協働の推進
- 国や県の個別施策に関して学習し、具体的な提言や提案を行う場とメディアをつくる。 (協働事例の量を増やすだけでなく、委託や指定管理、評価など協働の質をかえる)
5. インフラづくり
- NPO法改正、会計基準づくり、地方税の減免に現場のNPOの意向を反映させる。
- 新公益法人に関する支援サービスをつくり、使いやすい非営利法人制度を実現する。